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捏造、改ざんの軽重

論文の捏造、改ざんでも悪質なものから軽微なものまで様々。今回は例を挙げて不正の軽重を説明する。

(1)軽い捏造、改ざん

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これはSTAP論文の電気泳動画像の切り貼りで改ざんと正式に認定された。二つのゲルの画像を切り貼りして合成画像にし、さらに第3レーンはコントラストを変更し第1,2,4,5レーンは縦に伸ばす操作をした実験ごとに条件が異なるので同じ物質を電気泳動にかけても微妙に異なる結果になるため、何の説明もなく合成画像にするのは不適切。またコントラスを変えたり、縦に伸ばすと画像の形状が変わってしまう。これらは読者をミスリーディングする事になるので改ざん。

ただ、TCR再構成の証拠を偽ったわけでなく、画像が変わっているといっても少し違う程度だから軽い改ざん。この程度なら訂正で済むだろうし、解雇は重過ぎる。小保方晴子は見やすくする目的で切り貼り等を行ったと回答したが、結果が変わらなくても不都合のデータを削除したりフォトショップ等で奇麗な画像に加工すると改ざんになってしまうので注意が必要。きれいなデータにした方が論文が掲載されやすいと思って実際にこれらを実行する研究者がいるが不正だ。

他に末端コピペなど結論に影響しないデータで捏造、改ざんを実行する事があり、これも軽い捏造、改ざんの例。

(2)重い捏造、改ざん


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これはSTAP論文のテラトーマ画像の流用で正式に捏造と認定された。これはSTAP幹細胞をマウスに注入してテラトーマを形成した事を示した画像でSTAP細胞の多能性を示す有力な証拠であり論文の核心の一つ。そんな重要なデータを全く異なる実験結果から流用したのはデータの信頼性を根本から破壊するもので悪質。小保方晴子は取り違えと弁明したが詳しく調べるとスキャンした画像を切り貼りした事がわかり明白な故意の不正。正しいデータを提出又は再実験で結果の正しさを立証すれば訂正で済むかもしれないが、重大なデータを故意に捏造したら研究公正の観点から論文撤回になっても仕方ない。現にこの不正はSTAP細胞の不存在が確定しない段階で調査委員会から正式に論文撤回が勧告され、ネイチャー誌も新たな証拠を出さないと編集側が強制撤回すると公言した。どの程度の懲戒処分が相当か不明だが、理研の規定だと懲戒解雇か諭旨解雇が原則。

(3)非常に悪質な捏造、改ざん(最悪の捏造、改ざん)

ES細胞を混入又はすり替えたりしてSTAP細胞ができたと捏造したのは成果が虚構であり非常に悪質。ディオバン臨床研究捏造はデータを改ざんして統計解析し、ディオバンに脳卒中や狭心症のリスクを下げる特別の効果があるように捏造した論文を発表した。嘘の効果に騙されて国民は巨額な保険料を騙し取られた。どちらの不正も有利な結論を捏造した虚構論文で、学問の信頼を致命的に傷つけた。論文の結論が捏造だから論文撤回は当然。非常に悪質なので懲戒解雇になっても仕方ない。研究費も返還しなければならない。


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