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不正追究者へのインセンティブと研究費不正取得への制裁

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Erin Potts-Kantはデューク大学在籍時の研究不正で15論文が撤回された。また彼女は捏造の研究成果で60件以上、合計約2億ドルの研究予算を獲得した。それが原因でデューク大学は公益通報者からFalse Claims Act (FCA)をもとに訴えられ、不正な手段で取得した額の3倍の額の返還を要求されるかもしれない。

Erin Potts-Kantはこの件とは別に横領の容疑で逮捕され、デューク大学から25000ドル以上を私的流用し、アマゾン、ウォールマート、ターゲットでの商品購入に使った罪で有罪となった。最終的に罰金、保護観察、社会奉仕活動の判決が言い渡された。

なお、FCAをもとに訴えた人物は成功報酬として数百万ドルを得るかもしれないという。

以上はサイエンスインサイダーをもとにした。

日本でも不正論文をもとに公的研究費を申請し、不正に研究費を騙し取る事はいくつか起きているだろう。これまで数多くの研究不正事件が起きて、その中には研究費申請の書類に業績として記載した不正論文も数多くあったに違いないから。こういう事は研究費の不正取得で、省庁も罰則の対象にしている。しかし、その例で罰則を受けた例を知らない。罰則を受けたのは受けた研究費で不正な研究を行った場合が多かったと思う。

不正な方法で研究費を得た場合は詐欺罪にもなり得ると思うし、今後はこのような不正もきちんと取り締まって罰則を与えた方がいいだろう。

また、米国との大きな違いは公益通報者に報酬が出る事だ。前に白楽ロックビル氏のブログで似たような事を見た記憶がある。日本では研究不正の追究者に何のインセンティブもない。表彰されないし、ポストが得られないし、昇進しないし、お金も得られない。こういうインセンティブを作ると第一追及者ががんばって研究不正の摘発が多くなり、不正が少なくなる可能性はあるだろう。

でも正直いって、表彰はともかく、研究不正の追究活動でお金を得るのは嫌だなー。

ロシアの大量博士論文を摘発したディザーネットは表彰されたので、日本でも表彰があってもいいと思う。ただ、研究不正の追究活動者を表彰する団体なんてあるのだろうか。また表彰を創設できるのか。

ポストは山崎茂明氏と白楽ロックビル氏が退官かそれに近いので何人か専門家が出ないかと思っている。

それにしても米国は不正な手法での研究費獲得に対する罰則が重く、追究者が数億円規模の金銭的利益を得る事もあり得るから日本と大きく違う。米国は日本より研究不正の制度が進歩的だと思うが、日本がこんな感じになったらどうなるのだろう。ディオバン事件や井上明久の研究不正事件による不正取得の金銭を米国と同様の制度で訴えられたら、公益通報者はすごい額を得られるかも。

実効的に研究不正を取り締まるには、このような制度が必要なのか。


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