問題
abcd=a+b+c+dを満たす正の整数a,b,c,dをすべて求めよ。
[1991年 東京女子大学]
[解答]
与式は文字の入れ替えについて対称だから、解の要素を入れ替えたものも解になる。そのためa≦b≦c≦dである解も存在する。この解を考える。
abcd=a+b+c+d≦4d=d+d+d+d
1≦abc≦4
これより、あり得るのは(a,b,c)=(1,1,1)、(1,1,2)、(1,1,3)、(1,1,4)、(1,2,2)
(a,b,c)=(1,1,1)の時は、d = 3+dより、0=3となるから不適。
(a,b,c)=(1,1,2)の時は、2d = 4 + d より d = 4。
(a,b,c)=(1,1,3)の時は、3d = 5 + d より d = 5/2 だから不適。
(a,b,c)=(1,1,4)の時は、4d = 6 + d より d = 2、d < c だから検討中の解としては不適。
(a,b,c)=(1,2,2)の時は、4d = 5 + d より d = 5/3 だから不適。
よって(a,b,c,d)=(1,1,2,4)。この解の要素を入れ替えたものも解になるから、全部で4! / 2! = 12通り存在し、以下が解である。
(1,1,2,4)、(1,1,4,2)、(1,2,1,4)、(1,2,4,1)、(1,4,1,2)、(1,4,2,1)、(2,1,1,4)、(2,1,4,1)、(2,4,1,1)、(4,1,1,2)、(4,1,2,1)、(4,2,1,1) ・・・ (答)
[解答終了]
簡単ですね。あっさり解けてしまいました。
解法の方針としては「abcd=a+b+c+dを満たす正の整数」という条件だけでは解を絞り込めないので、制限を加える必要があります。この式が文字の入れ替えについて対称なので、a≦b≦c≦dという制限を加えて検討すると簡単です。これがポイントですね。
同じ問題の解説をみると、a≦b≦c≦dという制限を加えてもよい理由がわからないという意見を見ました。ネット上の他の解説でもその理由を説明してあるものがありませんでした。単に「仮にa≦b≦c≦dという解を考える。」という一言だけで、解答を進めているものばかりでした。
確かに正解になるのでしょうが、なぜa≦b≦c≦dという解を考えてよいのか説明しないと本当に理解しているのか伝わらないし、わからない人向けの解説としては理由をきちんと書いた方が適切です。「解がa≦b≦c≦dとなる保障がどこにあるんだ?a≦b≦c≦dとなっていない可能性だって十分考えられるぞ!」と疑問に思った人がいるんじゃないでしょうか。
簡単な理由なので、上の解答のように1,2行簡潔に理由を書けば、きちんと理解している事を示せて適切だと思います。
文字の入れ替えについて対称というのは文字を入れ替えても式の意味が変わらないという事です。与式はabcd = a+b+c+dで、例えばaとbを入れ替えても、bacd=b+a+c+dになり、入れ替える前と同等です。だから、仮に(a,b,c,d)=(1,3,7,2)が解だったとするとa,bを入れ替えても同等だから(a,b,c,d)=(3,1,7,2)も解になります。だから、解の要素を入れ替えたものも解になるため、a≦b≦c≦dとなるように要素を入れ替えたものも解になります。解答しやすくするため、まずその状態を検討するという工夫です。
わかりましたか?
中には理解せず「仮にa≦b≦c≦dという解を考える。」としてしまった人もいるようですが、数学的根拠なく解答するのは不正解になるおそれがあり不適切です。少なくとも科学としては非常にまずいです。前に「ルート3が無理数になる事を証明せよ.」という問題の解説で、「√3 = p / q とおく。p,q は互いに素であるとしてよい。」という部分を根拠を理解する事なく覚えて解こうとする人が何人かいる事を紹介しましたが、それと似たような事かもしれません。きちんと根拠に基づき、理解して解く事が重要です。
私は上のように解答しましたが、他にも解法はあると思います。
例えば次のような解法もあります。
[別解]
与式は文字の入れ替えについて対称だから、解の要素を入れ替えたものも解になる。そのためa≦b≦c≦dである解も存在する。この解を考える。
1≦a≦b≦c≦dより、abcd=a+b+c+d≦4dから a3≦abc≦4。よってa=1。
bcd=1+b+c+d≦4dからから、b2≦bc≦4より、b=1又は2。
(i) b = 1のとき
cd = 2 + c + d
cd - c - d = 2
(c-1)(d-1) = 3
c, d は c≦dである正の整数だから、c - 1 = 1, d - 1 = 3。よって c = 2, d = 4。
以上から、(a,b,c,d) = (1,1,2,4)
(ii) b = 2のとき
2cd = 3 + c + d
4cd - 2c - 2d = 6
(2c - 1)(2d - 1) = 7
c, d は c≦dである正の整数だから、2c - 1 = 1, 2d - 1 = 7。
よって c = 1, d = 4。b > c だから検討中の解としては不適。
(i)、(ii)より (a,b,c,d) = (1,1,2,4)の要素を入れ替えたものが解。
以上より、
(1,1,2,4)、(1,1,4,2)、(1,2,1,4)、(1,2,4,1)、(1,4,1,2)、(1,4,2,1)、(2,1,1,4)、(2,1,4,1)、(2,4,1,1)、(4,1,1,2)、(4,1,2,1)、(4,2,1,1) ・・・ (答)
[解答終了]
実に簡単ですねー。みなさんあっさり解けたでしょう。ここまで詳しく解説するとくどいかなー。解説だからいいと思う。