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自衛のための戦力と憲法について

終戦の日が近く新聞では戦争関係の記事が多い。今年は憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認という大きな転換があった。詳しい法的説明は前に行ったのでそれを参考にしていただきたい。簡単にいうと憲法9条は一切の戦争、軍隊やそれに転化しうる戦力保持を禁止したもので集団的自衛権を行使できる戦力どころか現在の自衛隊ですら違憲という考えが通説だ。従来の政府の憲法解釈で自衛隊が合憲とされたのは、憲法13条で国民の生命等を守ることが必要とされ、そのための必要最小限度の戦力は許容されると解したからだ。集団的自衛権は日本国民の生命等が危機に晒されていないのに外国へ行って他国を守るために武力行使するため、最小限度の戦力を超え違憲と考えられてきた。憲法では外国やその国民を守る趣旨の条文はないので、政府の憲法解釈変更は違憲無効だと思うものの、このまま進んでいくのだろうか。最高裁判所が統治行為論で判断を避ける可能性があるので、このままかもしれない。

憲法に従った政治運営をするのは当然だが、最高裁判所裁判官は政治性を審査されず着任しているし、憲法ではそもそも提訴された具体的紛争を解決する範囲でしか違憲判断ができないので、積極的に憲法判断する仕組みはない。もし憲法に従った政治運営になるように改善する制度が必要なら憲法を改正して憲法裁判所のような機関を作るのが一つの方法だと思う。

前も述べたとおり、現行に日本国憲法は軍隊やそれに転化しうる戦力保持禁止、交戦権すら否定しているので、自衛のための軍事力が全く持てないので不都合だと思う。もし憲法の規定を忠実に守ったら日本は他国から攻められたときにほとんど抵抗できずほしいままにされるだけだろう。理想や正義だけ述べても力がなければ無力だ。またどんな時代でも国際状況は非常に複雑でいろいろな利害や思想が衝突しているだろう。全ての他国を信用するのは現実的でないだろう。

戦争は誰しも反対だが自衛の戦力は必要で、それを正しくコントロールする仕組みも合わせて作っていく必要がある。


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