2017年の全米科学アカデミーの委員会報告書が研究不正に対する独立した調査機関の設立を提言したという。私は以前まで第三者調査機関の設立を提言していたが、最近は考えが変わりつつある。現在の各研究機関に任せる方法よりいいと思うが、第三者調査機関にしても被告発者や研究機関との関係で不公正な調査になってしまう事があるのではないかと思う。
STAP事件の第二次調査委員会は生データ等がなくても不正を認めない等、理研上層部の影響を受けて明らかに不当な判断をしてしまった。第三者調査機関にしても研究機関や被告発者の影響で不当な判断になってしまう事がある。
元東北大学総長は材料工学分野の大御所だったので日本金属学会でさえ不当な判断をした。現在も何も捏造、改ざんが認められていない。
第三者調査機関にすると独立性があり中立になるので公正な調査が期待できると思うのは甘いのではないかと思う。ただ、仮にそのような機関を作るなら専任の職員の方がいいと思う。研究者等が兼業で研究公正のための活動をしていくのはモチベーションの関係等でなかなか厳しい。
現状だと研究不正の問題はなかなか公正な調査の実施が難しいのかもしれない。匿名のクラウド査読で解決する事件が近年多くなったような感じがするが、コピペ捏造の摘発が多いので生命科学系の不正が多く、これからは摘発が少なくなっていくと思う。これからは調査し難い不正に移っていくのではないかと思う。その意味でも専門職員を雇った方が将来的によいと思う。
強制調査権に関してはいろいろ意見があるだろう。STAP事件やディオバン事件のように被告発者が不正を否定して逃げ切ろうとした場合に強制調査権がないと真相究明が難しい事がある。一方で研究の自由性の阻害や行政権の濫用などの問題もある。
いろいろ議論が必要だ。