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ラビニアが平手打ちされるシーンと小公女セーラの感想

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小公女セーラ 1985年、直接はこのサイトより

世界名作劇場のヒット作「小公女セーラ」も気にいった作品だ。南の虹のルーシー(1982)、アルプス物語私のアンネット(1983)、牧場の少女カトリ(1984)から世界名作劇場の低視聴率が続いたため、存亡をかけて作られた作品。この作品の成功がなければ世界名作劇場はセーラで終わっていたかもしれない。視聴率獲得のためにインパクトの強い話にしたのかもしれない。カトリが淡々とし過ぎた展開で視聴率が取れなかった事を反省したという点もあったかもしれない。そのために原作よりも過激ないじめや酷い展開があった。例えばセーラが馬小屋で寝るという話がある。


馬小屋で寝るセーラ 小公女セーラ 第40話 2分

ボロボロで汚い屋根裏部屋さえ酷いのに、11歳の少女を馬小屋で寝起きさせるというのはひど過ぎる。しかも、そこさえ火事で焼けてしまった。


火事になる馬小屋 小公女セーラ 第41話

アニメを見た人たちは馬小屋さえ焼けてしまったので、セーラには寝るところさえなくなって追い出されるのではないかと心配した事だろう。予想した通り第42話で放火したとミンチンに濡れ衣をきせられて追い出されてしまう。原作は大部分がいじめなどが描かれ、ひどい話ばかりだが世界名作劇場の方は視聴率かせぎのためか、もっと過激。余りにひどくて、真偽不明だがカミソリ入りの手紙がミンチンとラビニア役の声優に送られたという事も・・・。小公女セーラは辛さに耐えながら心だけはプリンセスとして強く生きようとするセーラと、心さえ強く持って努力を続けていれば必ず幸福になれるという様が描かれ人々が感動したので高視聴率になったのだろう。

私が印象に残ったのはいくつもあるが、上の馬小屋の寝起きや火事、ラビニアへの平手打ちの件だ。ラビニアが特別室を使う代表生徒となり、両親が特別室を見た時にラビニアがセーラを専属メイドにしようとするシーンがある。

ラビニアの母「この子が専用のメイドが欲しいと申しておりますの。・・・えーと、セーラとか申しましたわね。その子を娘の専用メイドにまわしていただくわけにはまいりませんでしょうか。」

(ラビニアの父が具合の悪い様子を見て)

ラビニアの父「何か具合が悪い事でも?」
ミンチン「でも、あの子は・・・本人に聞いてみませんと。」
ラビニアの父「なるほど、本人に聞いてみる必要がありますな。どうかね、君、うちの娘の専用メイドにまわってもらえるとありがいんだがね。」
(省略)
セーラ「うっ・・・お引き受けいたします。」
(省略)
セーラ「もしラビニアさんが以前のクラスメートを専属のメイドにしたいとお考えでしたら。」
(省略)
ラビニアの父「院長先生、これはいったいどういう事です?」
ミンチン「はあ、この子は父親を亡くして我々で親代わりになっている生徒でして、あーそれでそのー」
ラビニアの父「うーむ、お前はそのような事何もいわなかったな。」
ラビニア「だってパパ」
(ラビニアの父はセーラの様子をみる)


セーラのラビニアへの回答とミンチンの回答後にセーラの様子を見るラビニアの父 小公女セーラ第20話

(セーラは震えて倒れそうになり、ベッキに支えられる)


ラビニアに回答後、震えて倒れそうになるセーラ 小公女セーラ 第20話

ラビニアの父「わかった。」
ラビニア「はっ」
(ラビニアの父はラビニアを平手打ち)


父から平手打ちされるラビニア 小公女セーラ第20話

ラビニア「はっ、あー」
ラビニアの母「ラビニア!・・・ラビニア」
ラビニア「わぁーー」
ラビニアの父「ラビニア!私はお前の昔のクラスメイトにもう少しで恥知らずな頼み事をしてしまうところだったぞ。」
(その言葉を聞いてまた倒れそうになるセーラ、それを支えるベッキー)


ラビニアの父の言葉を聞いて倒れそうになるセーラとそれを支えるベッキー 小公女セーラ第20話


ラビニアの父「院長先生、娘に専用メイドをつける必要はありません。」
ラビニアの母「あなた!」
ラビニアの父「いや、構わん!院長先生、娘のためにもこの話はなかった事にしてください。」
(省略)
(夜、セーラの自室で)
セーラ「ラビニアに対する私の答え方は決して素直とは言えませんでした。でもあのラビニアの企みを避けるにはあの様にいうしか私には方法がなかったのです。」

(セリフの引用部分は世界名作劇場 小公女セーラ第20話より)

ラビニアが平手打ちされてざまーみろと思ったのは私だけではないだろう。ラビニアがいじめをするたびに父が現れて鉄拳制裁をしてほしかったものだ。たぶんこのシーンはインパクトが強いもので、視聴者は印象に残っているだろう。たぶんラビニアの父はセーラの態度とミンチンの説明を受けて、セーラの言葉の意味とラビニアの意図を見抜いたのだろう。つまり、セーラが述べた「お引き受けいたします。もしラビニアさんが以前のクラスメートを専属のメイドにしたいとお考えでしたら。」というのは「ラビニアさんはかつてのクラスメートを専属メイドにするような酷い事をなさるんですか?いじめるんですか?」という意味で、それを暗にいったのだ。セーラが自室で述べた「素直な言い方」というのは「専属メイドはやりたくありません。お断りします。」という事だが、立場の弱いセーラはそう言えず、この様な嫌な言い方しかできなかったということだ。セーラの最後のモノローグと平手打ち後のラビニアの父の言葉を聞いて倒れそうになるセーラの態度をみると、ラビニアへの回答で悪い気分になっているようだ。不断のセーラならこういう嫌な事をいう人ではないが、奴隷同然の身分のため非常に辛く端的に断れなかったので、こんな言い方になってしまった。全てラビニアが悪い!

この回答は立場の弱いセーラにとっては勇気のいる事だっただろう。相手は特権階級のラビニアとその両親で、極度にお金基準で待遇を決めるミンチンを目の前にして、「ラビニアさん、私をメイドにしていじめるの?」みたいな事を言ったら、追い出されるかもしれないし、震えて倒れそうになるのは無理もない。ラビニアの父はミンチンの回答後にそういうセーラの様子を見て全てわかったのだろう。どう見たってセーラは専属メイドをやりたいと思ってませんよね。ラビニアの父はセーラの言った言葉の意味と立場が弱くて断われない事がわかり、「どうも娘は特権階級を利用して弱い立場になってしまったかつてのクラスメートのセーラさんが断われないのをいい事に無理に専属メイドにするという酷いことをするつもりだ。」というラビニアの意図も見抜いたようだ。

まともな親なら子供がこのような恥ずべき行動をとったなら平手打ちを食らわせるのは無理からぬことだろう。特権階級を利用して立場の弱くなった人を無理に専属メイドにするという嫌がらせは恥ずべき行動であり、悪いエリート意識を持った娘に平手打ちを食らわせて、専属メイドを断るのは当然のことだろう。こんな状態で専属メイドをつけたら、付けあがって悪いエリート意識が悪化するだけだ。ラビニアの父はまともな人のようだ。私はなぜ父がこのような人なのにラビニアがこんな人物なのかよくわからないが、アニメの設定なので合理性を求めなくてもいいだろう。

それにしてもセーラは非常に立場が弱く、第24話では大事な人形のエミリーをラビニアの嫌がらせのために誕生日プレゼントとして取り上げられるというシーンがあり、非常に大切なものまで取り上げられるのを断れないのだから、どれだけ立場が弱いのか・・・ひど過ぎじゃないの?と視聴者は思ったかもしれない。


小公女セーラ第46話

最後はセーラがダイアモンドプリンセスに返り咲きインドに戻る。小公女セーラは辛さに耐えながら心だけはプリンセスとして強く生きようとするセーラと、どれだけ辛くとも心さえ強く持って努力を続けていれば必ず幸福になれるという事が表現された名作だ。

興味のある方はご視聴ください。


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