豊昇龍が横綱に昇進した。2場所連続優勝に準じる成績での昇進。前例と比べると少し甘い昇進。平成初期ならまず昇進できなかっただろう。照乃富士の引退で横綱の空位を避けたかったという理由もあっただろう。
横綱昇進は興行上の理由でいろいろ変わってきた。
昭和の時代は横綱が花なので、粗製乱造で横綱を誕生させ続けたが、双羽黒が一度も優勝することなく不祥事で廃業した事件で協会と横審が非難され横綱昇進基準が厳格化した。
また小錦などの外国人力士を横綱にしたくないから昇進基準を厳しくした。小錦が横綱になれないのは人種差別のせいという見解もあった。平成の初期から日馬富士が昇進するまで二場所連続優勝の基準が適用された。
それが改められる契機になったのは、長期の日本人横綱の不誕生のために稀勢の里を横綱に昇進させたいという思惑が発生したことだ。稀勢の里を横綱に昇進させたいから、二場所連続優勝の基準を緩くした。日本人だけ緩くすると人種差別と非難されるから外国人力士も甘い基準にした。そのために鶴竜が二場所連続優勝でなくても横綱に昇進した。長期間二場所連続優勝の基準が厳格に適用されていたのに、それが崩されたのはそれが理由だ。
自力のない稀勢の里を無理に横綱にした事の悪影響は大きかった。貴乃花のときでさえ問題視された6場所連続休場を超える8場所連続休場を認めた。そのために他の横綱の長期休場にも文句を言えなくなり、最高レベルの相撲を提供すべき横綱の不当な休場の多発を招いてしまった。せっかく誕生させた日本人横綱に長く続けてもらいたいという思惑のために悪い慣習を作ってしまった。
結局稀勢の里は横綱在位の大部分で休場、金星配給率ワースト、横綱勝率5割、わずか12場所で引退、無様だった。最弱横綱とよばれ醜態を晒すだけだった。
日本人横綱が欲しいからといって自力のない稀勢の里を横綱に昇進させた悪影響は大きい。
だから私は甘い基準で横綱に昇進させるのは反対だ。稀勢の里の昇進は特にひどかった。
豊昇龍はもう少し実力を上げないと横綱としてふさわしい成績を残せないかもしれない。豊昇龍はたぶん大丈夫だろう。今後に期待したい。