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研究不正をしない、巻き込まれないためには?

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昨年のSTAP細胞事件等の影響で学術界では不公正な研究遂行や調査が珍しくない事が暴露され世間の目が厳しくなった。研究不正をすると昇進、採用、予算獲得、論文掲載が難しくなり、下手をすると研究者生命を絶たれる。そうならないためにはどうしたらよいか。

(1)研究倫理を学び、研究不正をしないように努める

日本学術会議等が出す研究倫理の資料を読んだり、倫理研究に参加して研究倫理を学び、不正をしないように努める。多くの不正行為者は悪意で不正を行うので倫理を学んでもそういう人には効果はないが、少なくとも正当な研究手順や作法を知らなくて研究不正をしてしまう事は防げる。そういうのは不正ではないのでは、と思う人もいるかもしれないが、昨年の小保方晴子の電気泳動画像の切り貼りが改ざんと判断された例はそういう弁明が通用しない典型だ。研究不正の故意は悪意ではなく単に事情を知っているという程度の意味で、悪いと知らずにやった行為でも不正となる。小保方晴子は悪意はなかったと言っても改ざんが認定された。ネイチャーの画像規程に反していたし、悪意はなかった、ルールを知らなかったといても通用しない。研究倫理や正当な研究手順を学ぶ事は重要である。

ただ、これはあくまで正当な研究をするつもりの人に効果がある事で、悪意で研究不正をする人には効果がなく罰則など別な対応が必要になる。

(2)上司が研究不正を指示する場合は拒否し、必ず誰かに相談する、研究機関は解決できる仕組みを必ず作る

研究者に不正の意思はなくても、研究室のボス等から不正を指示される事がある。このケースが一番困るかもしれない。森直樹事件がこの例で、教授だった森が助手や学生に捏造、改ざんを指示し研究室ぐるみで不正を常態的に実行していた。当時助手だった富田真理子は不正に疑問を抱いていて他の人に相談したが、教授に逆らうと不利益を受けるので困ったという。結局学会から告発されて森直樹らの捏造が認定された。実行者は森、富田だけでなく学生もいたらしいが、不正実行者と認定されたのは森、富田だけで二人とも停職処分になった。

富田真理子の立場からは森の要求は非常に困ったものだろう。森の要求を拒むとどんなハラスメントを受けるかわからないし、不正をすると自分も不正行為者になってしまう。進退窮まった状態。富田は森の要求を拒むことができず、捏造実行者として停職3月を受け、現在まで科研費を受けられず、論文も出せなくなった。

一番いいのは、こういう研究室とは関わらない事だ。不幸にも関わってしまったら、必ず誰かに相談して一刻も早く研究室から出て行った方がいい。不正をするのはまずいし、ばれると富田真理子と同じ目にあう。これは個人の努力で解決するのが難しいので、研究機関でこういう問題を解決する仕組みを作らないといけない。

(3)共同研究者が不正をする場合は、データや文章のチェックをきちんと行って修正を求める、修正や説明をしない又は酷ければ共同研究を止める

共同研究者が不正をする場合は、論文のデータや文章をきちんとチェックする事が重要。本来であれば共著者はみなそれをしなければならない。研究室のボスでギフトオーサーとして著者になっている人もたくさんいるが、本来それは不正でまずく論文のチェックをしない事の言い分にならない。小保方晴子のように都合のいいデータをいくつも捏造、改ざんしてもってくるタイプもいるので、特に都合のいいデータをいくつも持ってくる人は気を付けた方がいい。一般に研究はうまくいく事は続かない。共同研究には信頼が重要だから、限界があるかもしれない。しかし、研究不正の実行者は必ずといっていいほど過失を主張して不正をごまかそうとするので、少なくとも性善説で研究を進めるとこれまでの研究不正の二の舞になるので、きちんとチェックをしないといけない。現在は剽窃チェックソフトがあるので、活用すれば剽窃を防げる確率は上がる。

不自然、不適切な点はデータ等の作成者にきちんと指摘しないといけない。不正行為者は不正を認めずごまかすものだが、不正を認めるかはともかくデータ等は訂正しないといけない。説明をしない、訂正すらしない、不正の態様が酷いというなら共同研究を止めるしかないだろう。そういう人と共同研究をするのは無理だ。できれば不正をする人と共同研究をしない方がいい。

若山照彦は不正をやっていなくても論文のチェック等を怠ったため、理研から出勤停止相当、山梨大から職務停止3月を受けた。共同研究者に小保方晴子のような人物がいると大きな損害を受け非常に困ったことになる事がある。責任のある者は不正実行者でなくても公的研究費の罰則を受ける規程で、近年は罰則が重くなった。不利益を受けないためにも適切な対応が必要。

(その他)不正やそれを指示する研究者を見抜くには?

(2)や(3)を書いていて思ったが、不正やそれを指示する研究者と関わらないというのは、そういう人だとわかっていれば多くの研究者が最初から関わらないだろうが、問題はどうやってそれを見抜くかという事。当然、そういう人は不正をやってる、指示しているとは言わないし必ずごまかす。見抜く方法は私もよくわからない。(3)で述べたようにボスが都合のいいデータをよく持ってくる部下や学生に気を付けるのは一つの方法だと思うが、他の方法は不明。共同研究者の過去の発表を見て疑義が多いなら気を付けた方がいいのかもしれないが、よい方法はわからない。わかる人がいれば教えてほしい。

以上。


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