最近はオリンピックエンブレム問題で佐野研二郎氏へのネットの誹謗中傷が著しい事が報じられた。この事件はネットユーザーたちの追及で撤回まで至り、その事も大きく注目された。彼らがなぜこの問題を追及したのか。そこはよくわからない。ネット中心に追及されたので、誹謗中傷が大きくなったのは避けられない事だったかもしれない。
この事件は昨年のクラウド査読によるSTAP細胞事件と類似する。私はその中心の一つとなる活動をしたので、当時の動機や感想がわかる。私に関していうと、STAP細胞の事件以前から研究不正の問題を扱っていて、特別にSTAP細胞だけを扱ったわけではない。ただ、社会的に大きく関心を持たれていたから疑義を紹介したという理由はあった。STAP細胞事件に限らず、日本の研究公正は非常に悪く、捏造や改ざんなどの悪質な研究、それに対する被疑者のごまかし、隠蔽だけでなく、研究機関までがそれを隠蔽したりルールを守らなかったり、でたらめな調査を行う様を非常に悪いと思って、改善したいと思った。また、私のブログは啓発効果等を目的としたブログなので、言論を通じて問題点や良い点を知らせて世界をよく変えていきたいという目的もあったので、それに関連して研究不正問題を扱った。STAP細胞事件等を通じて、文科省のガイドラインが改善されたり、研究倫理の向上のための動き、第三者調査機関設立の議論などが始まった事は成果だと思っている。
上のような考えでSTAP事件を扱っていたが、私は当時この問題を扱っていて正直怖かったし、途中から悲しくなった。私は日本語のブログとツイッターで一番最初にこの問題を紹介した。前から研究不正の問題を扱っていたので、ある程度読者がついていた事もあって、記事の内容は瞬く間に拡散していった。他の研究不正を扱う時は、社会的な関心が寄せられる程大きく注目されないが、STAP事件の時は抜群に注目され、ネットで大きく広まっていくだけでなく、大学やネイチャー誌の調査、マスコミのスキャンダラスな報道などがすごい勢いで拡大していき、この調子で続けたらどうなってしまうのか怖かった。だから他の人に代わりに追及して欲しかったので、11jigen氏がすぐに参戦し、彼がリードする形になって良かったし、少し安心した。
この問題は追及していくと、まるで底なし沼のように次々に疑義が浮上し、あまりの酷さに悲しくなってしまった。疑義の拡大にあわせてネットでの誹謗中傷は拡大していった。ネットでの誹謗中傷は現在も続いていると思う。私が行った事や不断の研究不正関連の記事も他の人たちから見ればネットいじめに見えるという人もいるだろう。ただ、研究不正の問題は上のように被疑者や研究機関のごまかしのために公正に行われていないので、私はネットの追及は現状では不可欠だと思うし、プロフィールや所属、顔写真等の紹介は啓発効果を高めるため等に関連事項として扱っている。リトラクションウォッチや白楽ロックビル氏のサイトでも同様だし、プライバシー権等は対象者が自発的にネット公表したものなら放棄したと考えられるので、扱っている。
STAP事件はネットの誹謗中傷より週刊誌等のバッシング報道の方がずっと酷かったと思う。週刊文春の乱倫な研究室、失楽園などの記事やコピペ研究所というゲームなどが代表的で、とても過激な記事が公表された。
私は忙しく、佐野氏のエンブレム問題は全く関心がなかったので、ネットでの誹謗中傷は全く見ていないし週刊誌等も読んでいないが、佐野氏によれば「人間として耐えられない限界状況」(写し、写し2)だったという。盗用を認めていないが、ネットリンチでエンブレムを撤回してしまった。私はこの件は見ていないので何とも言えない。
大きな問題だとある程度ネットで誹謗中傷が出るのは避けられないのが現実だが、STAP事件の時の週刊誌報道等は本当に酷かったし、それはこの件に限らず前から同じではないかと思う。私は忙しいので活動するつもりはないが、改善したいと思う方はネット上の言論で活動されてはどうか。