スペインの女性幹細胞学者Susana Gonzálezが捏造、改ざん(以下、捏造等)の調査後解雇された。EL PAIS、リトラクションウォッチ。PubPeerで捏造等の疑義が指摘されていた。スペインのNational Center for Cardiovascular Research (CNIC)の調査で、それがどのように影響したか不明。
『Susana Gonzálezは捏造等をきっぱりと否定、完全に不当な判断と主張した。彼女は純粋に仕事関係の理由による解雇と推測。もっともその詳細は明らかにしなかった。また自身の研究発表についても、出版記録は一度も撤回されていないし、過失はあっても決して捏造等ではないと弁明した。PubPeerではさらに彼女の論文に疑義が指摘されている。Susana Gonzálezは「私の評価は匿名の主張に基づいて疑問視されるべきでないし、それは全科学コミュニティでも同様だ。」と主張した。』([1]からの翻訳と要約)
Susana Gonzálezは業績が高いようで、Cell Stem Cell、Nature Communications、Natureといった一流誌に論文を掲載、European Research Councilから2百万ユーロのConsolidator Grantを得ているようだ[1]。そのため著名になり、足をひっぱる人が現れたのかもしれない。ただ、PubPeerで指摘されたSusana Gonzálezの疑義の数々を見ると、捏造等をやっていないという弁明は苦しいと思う。具体的指摘、筆頭著者-Nature、Mol. Cell. Biol、Cancer Res、責任著者-Cell Cycle(2012)、Cell Stem Cell、Nature Communications、Cell Cycle(2010)。
Susana Gonzálezは弁護士を雇って解雇事件の解決を目指している[1]。
最古の指摘は2003年論文だから、Susana Gonzálezは昔から捏造等を続けてきたのかもしれない。無名の時は注目がなかったため捏造等がばれなかったが、画期的成果、受賞、巨額予算獲得等で注目を集めると研究不正の調査が行われ、捏造等が発覚する事がある。
Susana Gonzálezは捏造等をきっぱり否定したが、O女性研究者のように明白かつ多くの証拠があっても捏造等を否定するのは珍しくない。また、多くのケースで故意でなく過失と弁明する。
日本だと大量疑義事件で明白な捏造等の証拠があっても不正を否定した調査例があった。また処分が不当に甘い事もあった。ある未解決研究不正事件は悪質な捏造等でも無処分。それに比べれば、Susana Gonzálezの疑義の調査結果と処分はずいぶんいいと思う。
Susana Gonzálezは仕事関係の理由で解雇されたと推測した。未解決研究不正事件の一つの岡〇事件はそういうものかもしれないが、Susana Gonzálezは被告発者なので岡〇事件とは立場が違う。O女性研究者のように責任を押し付けれた、陥れられたと主張する被告発者は珍しくないが、PubPeer等で指摘された客観的な証拠に対して弁明し、公正な調査裁定が行われる必要がある。
この事件はおそらく裁判になるだろう。癌研究者のFazlul Sarkarは匿名告発者によるPubPeer上の疑義指摘でパーマネントの研究職を失った。海外の研究不正の裁判はどのようなものだろう。日本だと元学長の事件は立証の程度や立証責任の問題で公正に行われなかった。O女性研究者の事件も立証責任等の問題で不当な判断が数多く行われた。文科省ガイドラインでは被告発者に全立証責任があるが、調査や裁判ではこの規定を無視している。裁判における不正の立証の程度を下げ、立証責任をガイドラインに従って配分しないと、O女性研究者の事件のような不当な調査が続く。関連1、関連2。そもそも研究不正をもとにした裁判をしない方がいい。
公正な調査が行われるとよい。
参考
[1]Retraction Watch 2016.3.7