光山勝慶(Shokei Kim-Mitsuyama)熊本大学教授らの2003年の論文が訂正された。リトラクションウォッチの報道。光山勝慶は論文の捏造、改ざんが認定され、停職1月となった。
訂正論文
Yasuhiro Izumiya(泉家 康宏-リンク先左側、筆頭著者、経歴),Shokei Kim-Mitsuyama(光山勝慶、責任著者) 他. Circ Res. 2003;93:9 874–883.
訂正公告で「・・・have requested a correction to address concerns raised on an anonymous Japanese Doctor’s blog.
Based upon these allegations, the authors’ institution, the Graduate School of Medical Sciences, Kumamoto University, investigated this issue. 」と言及されたとおり、元々匿名A氏の某掲示板での指摘を受けて、11jigen氏がまとめサイトで疑義を指摘し、熊本大学と大阪市立大学が合同で調査し、1件の捏造、改ざんを認定した。
しかし、訂正公告によると「The authors assert that measurements and calculations were not affected by this artwork-selection mistake, and therefore this mistake did not affect any of the conclusions of this manuscript. 」
著者らはあくまでmistakeと主張。mistakeで結論に影響がなく、誤りの量が多くないなら、一般には訂正が適当。しかし、本件は捏造・改ざんが公式認定されたので、訂正が適当かは検討が必要。
調査概要で、訂正論文は「当該分野の学術の進展への影響は大きい」と言及された。トムソンロイターによると148回引用された。このような学術的影響の大きな論文で捏造、改ざんが認定されたら、撤回になっても不思議ではないが、調査概要では「科学的に適正な方法と手続きに則って行った研究活動によって得られた研究成果が存在しないなど、本来提示すべき客観的で検証可能なデータ・資料を提示することが出来ない場合には、取り下げ等を行う事が妥当である。」と言及された。
訂正公告によると「During this investigation, the authors provided all original source files for the figure in question, along with additional corroborative data, and the institution recommended publication of a corrected Figure 4. 」
訂正データが生データかadditional corroborative dataか不明だが、生データが保存されていたなら、大学の公式発表のとおり撤回しなくてもいいかもしれない。しかし、大学が公式に捏造・改ざんと認定したのに訂正公告でmistakeと発表するとは・・・。
論文の結論に影響があった場合に撤回になるのは当然だが、影響がないが捏造、改ざんがあった場合の扱いは微妙。公正さのために撤回する場合もあれば、訂正の場合もある。捏造、改ざんがあったのに訂正で済んだ例は柳澤純(元筑波大学)と妻の柳澤明子(村山明子)柳沢ファミリークリニック医院長、立石幸代(元国立環境研究所)の捏造、改ざん事件。それぞれ不正責任が公式認定され、柳澤純は停職6月相当、柳澤明子(村山明子)は諭旨解雇相当になり両者とも辞職、国立環境研究所は立石幸代を処分しなかったが雇い止めにしたため、立石幸代は調査に一切応じず逃げてしまった。
処分の重さからいっても重大な不正事件だったが、結論に影響がない場合は訂正で済ます例がある。だから、光山勝慶らが大学の要請どおり生データ等を提示して結論を証明できたなら、訂正でもいいかもしれない。
むしろ、この事件の問題は処分の不当な軽さだ。論文9編で捏造、改ざんが認定されたのに光山勝慶はたったの停職1月で済んだ。柳澤純、柳澤明子(村山明子)、立石幸代は全捏造論文3編で停職6月相当、諭旨解雇相当、辞職、雇い止めだから、かなり重い。処罰が不均衡だ。私は光山勝慶が論文9編で捏造、改ざんの責任があるのに停職1月で済むのは軽い過ぎると思う。論文1編の捏造に直接関与した山本英一郎熊本大助教は厳重注意処分で済んだ。いくらなんでも軽すぎるだろう。競争的資金の罰則では光山勝慶、山本英一郎はそれぞれ応募・申請制限2年、5年で懲戒処分等と逆転した。この点からいっても、論文1編の捏造に直接関与した山本英一郎が厳重注意で済むのは余りに軽すぎる。
厳重注意は軽い二重投稿やオーサーシップ違反、軽過失での業績リストの論文数水増し、経歴誤記載くらいの罰ではないか。例えば東京医科大学の整形外科教授の二重投稿(取り下げ申し出あり)や慶應大の経歴誤記載は厳重注意だった。山本英一郎の捏造の処分の重さはオネストエラーの経歴誤記載等と同程度で、明らかに軽すぎる。大阪医科大学のK助教も悪質な捏造をしたが、厳重注意と倫理面の特別教育のみだった。これは軽すぎ、阪大生命機能研究科が厳しい処分案を評議会に諮ったにも関わらず、評議会が答申案よりはるかに甘い処分(写し)を出したことに、内外から強い批判が起きた。
実をいうと比較対象とした東京医科大学の整形外科教授の二重投稿は教授選のための業績水増しのため故意に二重投稿したのをごまかし、慶應大の経歴誤記載は故意の詐称を過失で処理し、不正を隠蔽したと思うので、本来の処分はもっと重かったはずだ。前に処分が不当に軽い問題を紹介した事がある。
この点も改善が必要だ。