白楽ロックビル氏のDissernetの紹介記事を読んで、ロシアの学術界の腐敗に驚いた[1]。なんと5000編以上の盗用博士論文が見つかったという[1]。まさかそんなに多いなんて。学位授与機関等、学術界自体が腐敗し、ここまで酷くなってしまったという[1]。
政治家等の権力者でさえ盗用博士論文を出したのだから、簡単に改革できないだろう。日本はここまで酷くないが、大量の不正が見つかると不正をごまかす方向で処理する事がある。例えば昨年の大量疑義事件や早稲田大学の大量盗用博士論文がそうだった。不正の認定基準が不当にあがったり、不公正な扱いが行われ、不正がごまかされた。だから、仮に日本の学術界がロシアと同様に腐敗したら、おそらく隠蔽やごまかしが行われると思う。現在も一部でそのような取扱いが行われているが、まずそこを改善しないといけない。
調査によると盗用博士論文の多い分野は上から経済学、教育学、法学で、それぞれ35%、23%、15%だった。経済学や教育学の不正が最も発生しやすいのは日本も同じで、以前データとともに紹介した。日本の経済学や教育学も盗用等が多いのも同じ。なぜか。
白楽ロックビル氏は次のように推察した。
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盗用博士論文が多い分野から並べると、経済学が35%、教育学が23%、法学が15%となった。自然科学では盗用博士論文が少ない。どうしてか? 経済学、教育学、法学など人文科学的なことは、人々の日常生活(非学術的な部分)でもある。 人文科学的な日常生活では、ニセ科学や神話を排除する思考が少なく、その価値観が学術界でも働いているためか、人文科学では盗用博士論文が多いのだろう。 自然科学は、人々の日常生活でもあるが、電気にしろ、気候にしろ、ニセ科学や神話を信じて日常生活を送れない。その価値観が学術界でも働いているためか、自然科学では盗用博士論文が少ないのだろう。--
([1]より)
白楽氏の日本の研究者事件一覧をみると、文系の不正はほとんど盗用。捏造、改ざんがなぜ少ないのか不明。たぶん文学や法律学のような分野は科学的なデータを扱う事がほとんどないから捏造、改ざんする必要がないではないか。もしそうなら経済学の実証系の分野は捏造、改ざんが多い事も考えられる。特に政策分析等の論文で捏造、改ざんが行われると損害が甚大。
科学的なデータを扱う経済学、教育などで捏造、改ざんが少ない理由は単に生命科学のように追究する人がいなかったり、画像加工のような証拠がないからだろう。
日本はまず公正な第三者調査機関や拘束力のある規則や研究公正の大学教員を作る事が大事だと思う。
参考
[1]白楽ロックビル ロシアの盗用博士論文:アンドレイ・ロストフツェフ(Andrei Rostovtsev) 2016年5月21日