岡島達雄(Tatsuo Okajima、経歴1、経歴2、建築材料)元名古屋工業大学学長が教え子の論文を写し、自分の名前で発表した。名工大の調査委員会の調査結果によると『学長が論文を写した事実は確認できたが、長年の共同研究を基礎に書かれたもので、それが共同著作物に当たるかどうかの判断はできなかったという。
調査委員会の報告によると、学長は教え子の論文を写したことは認めた。しかし「共同著作物としての認識の上で使ったもので、盗用、流用、コピーの意識はない」としているという。
論文の発表前に、教え子の了解を得たかどうかについては、学長は「得た」と主張しているのに対し、相手方は「聞いていない」といい、意見が分かれた。
委員会は「解説記事を学長が使用するに当たって、明確に伝える必要があったのではないか。十分に意思疎通がなされていたとはいいがたい」とし、両者の話し合いでの解決を促した。[1]』
1987年と1990年に岡島達雄が発表した2報の論文の盗用が問題とされた。教え子は調査結果公表時に愛知産業大学助教授で、その学位論文が問題になったという[1]。名工大の調査結果は共同著作物か判断できず、話し合いの解決を進めたが、はっきりいって教え子の論文を写して岡島達雄の名義で発表したのだから盗用の認定が当然。名工大は学長の盗用認定を避け、不正をごまかしたと言われても仕方ない。
調査結果は盗用指摘論文が共同著作物にあたるか判断できないとの事だが、共同著作物でも他人の論文を写して自己名義で発表したら盗用になるし、共同著作物でないなら尚更盗用。盗用指摘論文が共同著作物かどうかは盗用の判断に影響しないから、これを判断できなくても盗用を認定しなければならない。
岡島達雄は論文公表前に教え子の了解を得たと主張したが、教え子は否定。ゴーストオーサー系の盗用は現在まで何度か起きている。著者資格を守った研究発表を行うのは非常に重要である。きちんと書面を残しておくのが望ましい。
岡島達雄は了解を得たと主張したが、他人の成果を単著発表又は該当者を省いて発表したら、故意に他人の成果を自分のものとして発表したと言われても仕方ない。そもそも了解を得たなら著者に教え子が加わっていないのは不合理だ。学位論文等の例外を除いて、了解を得たからと言って共同研究の成果を単独発表したり、著者資格のある人を省いて研究発表するのは不適切。
この事件は公式には盗用の認定が避けられたが、私は盗用を認定しなければならなかったと思う。岡島達雄が学長だから盗用認定を避けたのだろう。井上明久前東北大学総長や岩政輝男元琉球大学長等、偉い人に対する不公正な調査は他にもある。
調査を第三者調査機関で行うべきだという指摘は前からいろんな人たちが何度も指摘しているが未だに実現していない。この事件は1999年の事件だから、17年前も同様の問題があった事になる。これからも同じ事を繰り返すのだろうか。
日本学術会議に強制調査権限を持つ第三者調査機関が常設される事を期待する。
参考
[1]朝日新聞 1999.3.4、直接的にはリンク先。