「研究不正の追究は趣味か?」という問いがあるかもしれない。
こんなの趣味なわけないでしょう。では仕事?と問われるとそうでもない。だって、お金もらってないじゃん。じゃあ何なんだ?というと、強いて言うとボランティア活動だ。
近年の研究公正や研究倫理はネット上のボランティア活動が重要な貢献をしている。これがなければ多くの研究不正が解決せず、研究公正や倫理が実現しないのかもしれない。
その主な要因は研究不正の対応制度が十分でない事かもしれない。研究不正を告発するとハラスメント、規則を守らず調査がでたらめ、黒を白にする、隠蔽、下手をすると研究界から追放・・・。マスコミも公式発表等がないと研究不正を報じないし、残っている手段といったら私やPubPeer、Retraction Watchみたいな活動しかない。
Retraction Watchは顕名の活動で生業として活動しているので、寄付を受けている。PubPeerは今まで匿名活動だったが、昨年運営者が正体を明かした。白楽ロックビル氏は信用や資金を得るためかもしれないと推測した。
日本はそもそも研究不正の追究や改善活動に対して寄付をしたり、大学教授として雇ったりする事はたぶんないだろう。アメリカの団体は多額の寄付をするから、そういう活動を理解してくれる団体等があるのだろう。PubPeerやRetraction Watchの活動は現実の研究公正に重要な貢献をしているから寄付もわかる気がする。
私は匿名活動なので信用度や影響力は低いし、地位やお金を得られないし求めていない。白楽ロックビル氏が言うように信用度や資金の点で限界がある。しかし、現状の日本の制度では私のようなボランティア活動家は必要不可欠だと思う。それは上で述べた現実があるから。
現在の研究公正の実現のためには、匿名活動家、顕名活動家、マスコミがそれぞれの利点を活かして欠点を補いながら協力して活動していく事が最も効果的である。ただ、将来的にはこのような活動は変わっていかないといけない。このような形でしか研究公正を実現できないのは学術界の自浄作用としてまずい。
最近問題だと思っているのは、日本には研究不正や研究公正の大学教授等がほとんどいない事だ。研究不正の調査を数多くみると、調査委員が研究に詳しくても研究不正に詳しくなくて、適切な判断ができないケースを見る。(単に黒を白にする意図だったのかもしれないが・・・。)
このため同種の研究不正でも研究機関によって不正だったり、そうでなかったりする。研究公正の実現のためには大学教員等の専門家をある程度人数確保する必要がある。