リトラクションウォッチのAlison McCook氏が米国の研究不正行為者のその後を調べた文献を公表した。米国保健福祉省で過去25年間に研究不正を認定された284人のうち約半数が研究を続け、17人は61の新プロジェクトに対して合計1億100万ドル以上のNIHの予算を獲得した[1]。研究者として雇われているネット上の証拠がある者が113人、PubMedに表示される論文を発表した者が118人[1]。大学院生やラボのテクニシャンなど低い身分だった人は研究界に留まっている傾向が弱いようだ[1]。
日本だとどうなのか。そういう調査はなかったと思う。医師や歯科医師だと不正後はその仕事を続けている傾向があるのではないかと思う。悪質な捏造で懲戒解雇になった松原弘明は淀川若葉会病院の院長を務めたし、北川浩史(関連)はえばらサンクリニックの雇われ院長になり、柳澤明子(村山明子、関連)は柳沢ファミリークリニックの院長になり、岡嶋研二(関連)は名古屋Kクリニックの院長になり、上原亜希子(関連1、関連2)はあおい杜在宅歯科クリニック仙台中央を開院した。神津円(藤田円)は勤務医。世界記録捏造で医師や研究者の資格はないと日本麻酔科学会から公式公表された藤井善隆(写し)さえ医師の活動を続けている。
研究界に留まった人もいる。海外で研究不正をやった人が旧帝大医学部教授や某国立大学学部長(関連)になった例もある。
低い身分の人はどうなんだろう?[1]の調査だと研究界から追放される傾向が強いのかもしれない。O 30代女性研究者は確かに追放された。他にも国立環境研究所30代女性研究者(関連)や他のO 30代女性研究者(関連)などは悪質な捏造後にどうなったか不明。須澤美幸(Miyuki Suzawa)(写し、拡大、写し、その他)のように研究者を続けている例もある。ただ、須澤美幸は不正発覚時から現在まで米国在住。
国内で研究者を続けている例だと富田真理子は現在も琉球大学医学部准教授を務めている。ただ、富田真理子は2010年の捏造事件で停職3月になってから一度も論文を出版しておらず、実質的には研究者を続けていない。2017~2020年までの競争的資金の応募禁止が発表され、ほとんど飼い殺し状態。
日本だと研究不正発覚後に国外逃亡する例もある。追及をかわす目的だろうが、結局研究不正が認定された。関西の某旧帝大は知らんぷりしている。
日本の不正行為者がその後は米国に比べてどうなのだろうか。
参考
[1]Alison McCook, Retraction Watch
"U.S. researchers guilty of misconduct later won more than $100 million in NIH grants, study finds"
ScienceInsider 2017.2.24