Quantcast
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2104

研究倫理を説いた側の研究不正

長崎大学グループの研究不正研究に対する盗用の件が少し注目されている。過去に研究倫理を説いた側が研究不正をしてしまった例は3例ある。

(1)K元東大教授らの事件

詳細は平成不正事件1位を参照。K元教授は日本分子細胞生物学会理事で研究倫理委員会に参加し、その会合では「corresponding authorは捏造事件があったら切腹(する位の覚悟)で臨むべき。」という発言があった。K元教授の指導学生だったM.K.は研究倫理の主張をしたが、自分が捏造を実行して博士を取り消された

K元東大教授は懲戒解雇相当。長期間にわたって大量の捏造を組織的に繰り返した。さらに捏造の疑いを指摘された時に、虚偽のメガコレクションで捏造の隠蔽をはかった。非常に悪質な研究不正。

(2)W元東大教授らの事件

W元東大教授は日本分子細胞生物学会理事だった。STAP細胞事件でO氏の博士論文にコピペ盗用があったのに早稲田大学が学位を取消さなかった事に対して批判した。しかし、W氏は捏造、改ざんの画像マニピュレーションを実行又は学生に指示していた。W氏は捏造、改ざんが認定され懲戒解雇相当。W氏は画像マニピュレーションの許容範囲に関する理解が不十分だったために、捏造にあたるマニピュレーションを適切だと誤信して捏造を実行・指示していた。W氏の弁明に基づくとそうなるが、明らかに結果を作っている操作もあったので、悪意がなかったとはいえない。

(3)長崎大学グループの研究不正研究での盗用

最近公表された事件。文献1。代表者のT.K.氏は引用ルールの解釈違いと弁明。報告書作製はN氏。現在、長崎大学などに申立てられ対応中。著者らが引用ルールをよくわかっていなかった事が原因だと思う。盗用が認定されれば、日本の研究不正の研究で不正行為があったのは史上初。

(3)はたぶん引用ルールの理解不十分が原因だろう。(2)も画像マニピュレーションのルールの理解不十分が原因の一つかもしれない。ただ、(2)はW氏の悪意も原因。(1)のK氏は倫理意識の欠如が原因。長期間の捏造だけでなく、メガコレクションによる隠蔽までやったのだから非常に悪質

研究倫理を説く側が研究不正をしてしまうのは何が原因かというと、(1)は倫理意識の欠如が原因、(2)は半分はそれが原因。(3)はルールの理解不十分が原因だと思う。報告書や口頭発表などの査読付き論文以外の発表は捏造、改ざんが問題にならないと主張する某有名大学文系の教授や口頭発表、報告書等では誤り等があってもよいかのように主張する准教授や論文の全分析結果や結論の訂正さえやってしまう学術誌など、文系は一部の研究者がたとえ実績のある有名教授だとしても研究倫理が極めて乏しい人がいる。悪い意味でプロ意識があるためか自分の知識を常識と勘違いしていて、適切な根拠を示しても考えを改めないので手の施しようがない。文系研究者の研究倫理が乏しく、研究倫理の知識や制度が普及していない事も原因の一つ。

W氏もそうだったが、たとえ実績のあるベテラン教授だったとしても研究倫理が乏しい事があり、捏造等を実行・指導する事がある。自分だけでなく部下・学生まで巻き込んでしまうと非常にまずい。

私も含めて研究倫理をきちんと学ぶ事は重要である。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2104

Trending Articles