ORIがウェイクフォレスト大学医学系の元大学院生Brandi Blaylock氏(写し、関連1-写し)の研究不正を公表した(写し)。リトラクションウォッチも関連記事を公表(写し)。
ORIの公表によると
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ORI found that respondent engaged in research misconduct by falsifying and/or fabricating data reported in two poster presentations, several laboratory meetings, and progress reports associated with NIDA, NIH, grant R01 DA012460.
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査読付き論文ではなく、2件のポスター発表やいくつかのラボミーティング、NIDA関連のプログレスレポートで捏造又は改ざんデータを報告した。National Institute of Drug Abuse(NIDA)のグラントが付いたので容赦なく公表された。ORIはMs. Brandi Blaylockと書いたし、Summit Schoolの紹介だと学士号しか持っていない。Biographyに「Brandi has completed coursework towards her PhD at Wake Forest University School of Medicine in the Department of Physiology and Pharmacology. 」と記載されているので、日本でいう博士課程単位取得退学のようなものか。博士を取得できなかった事と研究不正の関係は?Blaylock氏は2011年にORIから賞を受けた。最終的にBrandi Blaylock氏は研究不正で調停合意した。
Brandi Blaylock氏は現在アカポスについておらずSummit Schoolのトリアッドアカデミーで理科を教えている。肩書は「Upper School Science Teacher, Triad Academy」。研究不正をやってしまうとアカポスにつくのは難しいのかもしれない。前に紹介したJulia Bitzegeio氏(写し、写し2、写し3、写し4)も研究を続けられないと元上司からコメントされた。
YoutubeにBrandi Blaylockと名乗る女性が自分の研究や経歴について説明する動画があるが、リトラクションウォッチによるとBrandi Blaylock氏は彼女のビデオなのか確認しようとしなかったという。
Brandi Blaylock氏の動画
リトラクションウォッチのメールに対してBrandi Blaylock氏は「I have no comment and please do not contact me again.」と回答。
Brandi Blaylock氏はポスター発表、ラボミーティング、プログレスレポートで研究不正を行った。日本でも口頭発表や査読なし論文等は研究不正の取り締まりや処罰の対象となる。博士号を取得できずアカポスにつけなかった点からBrandi Blaylock氏はポスター発表等の不正で研究者生命を絶たれたといえるかもしれない。日本の同様の事例は山崎雅英氏(元金沢大学医薬保健研究域医学系講師)が捏造したデータをもとに報告書を作成し日本学術振興会から科学研究費としてあわせて1694万円の補助金を不正に受け取った事があげられる(関連)。山崎雅英氏は懲戒解雇、山本博・研究域長(当時)と松井修・医学系長(当時)は口頭注意。山崎雅英氏もアカポスに就いている事を確認できないので研究者生命を絶たれたのだろう。
読者の中には査読付き論文の不正でないのに厳しすぎるではないかと思う方もいるかもしれない。しかし、現実にはこのような扱いがありました。重大性という点では査読付き論文に劣るかもしれないが、ポスター発表や査読なし論文でも学問の発展に寄与し業績評価の対象となる事があるので、不正を行ってはならず、不正を行えば相当の罰を受けるのは当たり前です。また、文系では査読なし論文でも重要な事があると聞いた事があります。そういうケースを考慮しないといけません。
Brandi Blaylock氏はアカポスには就けなかったが、中等教育の教師になれてよかったですね。O 30代女性研究者の方はもっと心配ですね。某国立研究所が不公正な調査を行ったのでO 30代女性研究者の一番大きな不正は現在うやむやになっていますが、将来不正が認定されるともっと厳しくなるでしょう。
不正を行った人の再チャレンジは重要だ。2012~2014年頃に騒がれた東大分生研事件の加藤茂明氏が責任をとって辞職し、福島でボランティア活動を数年続けた。上昌広氏によると加藤氏が関わった病院だけ若手医師が激増し、来年いわきときわ会常磐病院に加藤氏の基礎研究室ができるという。加藤氏の活動は珍しく、逃げてしまう人が多い。例えば、服部良之氏は独協医大をさっさと諭旨退職されて、民間病院で部長待遇で再就職。不正論文への説明責任や撤回等から逃げてしまった。服部良之氏だけでなく川上明夫氏も同様。
O 30代女性研究者は説明せず、ずっと逃げ続けている。いつか再チャレンジするにせよ、納得できない部分がありますね。どんな人にも再チャレンジは必要だと思いますが。
皆さんはどう思いますか。
参考
[1]Retraction Watch 2015.8.21