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未解決研究不正事件 - 井上明久の研究不正

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未解決研究不正事件の一つに井上明久の研究不正事件がある。これは井上が東北大学の総長だった時に最初の告発があり、現在も争われている。総長に逆らえないため、規則無視、不公正な調査、告発者の圧殺等が行われ、非常に酷い事件。裁判は最高裁へ上告中。東北大の調査は表向きは継続中だが、もう相当な期間が経過しており、本当に終わるのか不明。

図1 応力原点を示さない応力ひずみ曲線、 [1][2]

不正疑義の一部が図1。材料への圧縮試験の結果で横軸がひずみ、縦軸が応力。どんな物も圧縮すればある程度縮むが、どのくらいの力でどれだけ縮むかを示したグラフ。最初のうちは当然圧力とひずみが比例関係にある弾性変化をするが、図1の(a)(b)はグラフを下の方まで伸ばしていくと原点に至らず、正の圧力でひずみゼロという不合理な結果になる事が一見してわかる。明らかにグラフを本来の位置から左にずらす操作をした。明らかな改ざん。しかも、このようなデータがたくさんある

井上明久らが意図的な捏造又は改ざんを行ったのは明白で、なぜこのような論文が掲載されたのか不思議だ。

井上明久らが本来の位置から左にグラフをずらしたのは明白だが、なぜ操作したのか。

図2 ある応力ひずみ曲線 [1][3]

圧縮試験がうまく行かず、図2のように低圧力の部分でグラフが直線にならず曲がってしまう事はよくある。弾性変化を測定できていないので、質の悪いデータだと思ったのだろう。井上は図1で500MPa以下のグラフを省略した。不都合な部分を省く事で質を高く装い、論文を掲載させやすくしたのだろう。データや結果を省略して研究を正しく表示しない事も改ざんと定義されているので、これも改ざんである。

グラフを左にずらしたのは、本来の位置だと下の方までグラフをのばす応力ゼロで正のひずみとなって不合理だから、左にずらしたのかもしれない。ただ、それならグラフを伸ばした時に原点に至るようにずらさないとまずいと思うが、なぜそうしなかったのか。この点は井上明久が説明責任を果たすべきだし、操作をした以上論文を撤回しないといけないが、井上はそれをせずに逃げている。

研究で捏造や改ざんを行っただけでなく、何も説明せず、発表文献の訂正や撤回すらせず逃げているのはまずいと思うし、学士院会員なら尚更だろう。

必ず不正を認定し、相当の罰則を与えるべきだ。

参考
[1]日野秀逸、他:"研究不正と国立大学法人化の影―東北大学再生への 提言と前総長の罪" 社会評論社 2012.11.25
[2]Materials Transactions JIM, 40(2001)1149-1151
[3]Materials Transactions 43(2002)2342-2345
W. Zhang and A. Inoue


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