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不可能な実験やデータ作成は捏造

捏造がばれる原因の一つに不可能な実験やデータ作成がある。

例1 導出できない値を発表

以前の紹介を修正して引用。

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APL論文に記載されている材料の0.2%耐力([3])も以下のように捏造、改ざんされています。

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図3 0.2%耐力の捏造 (一番上の行の値が真値) [1]

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図1 材料の応力ひずみ曲線とそれから求められる0.2%耐力 [1]

0.2%耐力の求め方も簡単で、応力ひずみ曲線から求めます。ひずみ軸で原点から0.2%だ け正の点から弾性領域の応力ひずみ曲線に平行に線をひき、曲線と交わった点の応力が0.2%耐力です。図1のガラス材(左側)は破断点から真下に向かって 線が延びていますが、実測値なら通常はひずみ軸まで垂直に線が延びるにも関わらず、そうなっていないので、これはただの補助線と考えられます[1]。

このやり方に従って0.2%耐力を求めると、ガラス材は求めらず、0.2%耐力は存在しません。準結晶材は目視では1800~1860MPaの間に見えます。

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井上明久らは応力ひずみ曲線から0.2%耐力を求められないのに、どうやってAs-cast(ガラス材)の0.2%耐力を1750MPaと求めたのか。少なくとも論文に示されたデータに基づいた計算をやっていない。こういうのを捏造という。

例2 実験不可能な試料作製

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図2 捏造が疑われるバルク金属ガラス [4]

論文を見ると、井上らはできたバルク金属ガラスを2つ割って断面と側面を撮影した。それが図2。[4]は[5]の再現性を確認した論文で、金属ガラスの質量を考えると、当時研究室にあった装置の溶解質量の限界を超える金属ガラスを作製したことになるので捏造ではないかと争われている。井上は2つは本当は別物でそれぞれの質量は溶解限界に達していないから捏造ではないと主張しているという。

図2はできた試料を割って、その断面と側面の形状、色、性質などを示す事でバルク金属ガラスができた事の証拠を示したもので、別々の試料の断面と側面を撮影しても意味がなく、そんな事をやらないし、普通間違えないし、論文にも1つのものを2つに割ったと書いてある

これは裁判で争われた争点で、控訴審までに捏造は認定されなかったが、私は訴訟の立証責任や証明の程度の不適切さや裁判官の科学技術的専門力の不足が原因による誤判だと思う。

井上明久らはでたらめな研究をやったと言われても仕方ないだろう。

参考
[1]青木清氏らのJSTへの告発文 2012.3.22
[2]弾性変形:「外力を受けて変形した物体が、外力をとり除くと完全に元の形に戻るような変形。」(大辞泉より) 弾性変形は応力とひずみが比例関係にある。
[3]0.2%耐力:除荷した後に残る塑性ひずみが0.2%(0.002)になる時の応力のこと[5]。明確な降伏応力がない材料で替わりに用いる値。
[4]Materials Transactions, JIM 37(1996)185-187
A.Inoue and T. Zhang
[5]Materials Transactions, JIM34(1993)1234-1237
A. Inoue, T. Zhang, N. Nishiyama, K. Ohba and T.Masumoto


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