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北里大学の研究者がゴーストオーサーシップ!盗用は?

北里大学の講師(47)が不適切なオーサーシップを行ったと認定された教授(60)が不正のあった論文の責任があると認定された。氏名や所属は非公表。

北里大学の公表によると不適切なオーサーシップ、即ち「当該研究のデータ取得段階で実験に参加するとともに指導的役割を果たした者を当該論文の共著者としなかった」事が不正と認定されたが、これは盗用の可能性もあると思う。

文科省の盗用の定義は「他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を、当該研究者の了解もしくは適切な表示なく流用すること」で、共同研究者の研究結果を研究者の了解等なく自己のものとして発表するのは盗用。

例えば藤女子大学の犯人共著とすべきなのに単著で論文を発表して盗用を認定され諭旨解雇瀧川薫(元滋賀医科大学)も同様の盗用で懲戒解雇になった。どちらも著者となるべき者を省いた事が盗用と認定された。ウェイジャー・エリザベス氏の論文でも「論文から,記載すべき著者の名前を除外することは,剽窃・盗用に類すると見なされるだろう(なぜなら,除外された人は自身の研究業績を他者に奪われるからである)」(情報管理 57(7),p443-450,2014)と言及された。

北里大学の公表によるとデータ取得段階で実験に参加し指導的役割を果たした者を共著者としなかったのだから、他人のデータ等を研究者の了解等なく自己のものとして発表したのではないか。これは盗用である。これをオーサシップ違反のみの問題として処理するのは盗用の隠蔽であり、許されない。

一般に著者を省くのはゴーストオーサーシップと盗用の2つの不正をした事になる。これをゴーストオーサーシップのみの問題として処理するのは盗用の隠蔽。盗用があった以上原則論文を撤回しなければならない。

ゴーストオーサーシップのみのケースは例えば臨床研究で利益相反を隠すために故意に著者を省いたケースやゴーストライターがいたケース、軽過失で著者を省いたケース等だろう。前二者は著者の同意があったといえるだろう。軽過失で著者を省くのは本当に起きれば盗用でないがほとんどないと思うし、投稿前に共著者全員の同意を得るの慣習だから、これは通常ない。あったとしても重過失は免れないだろう。重過失はオネストエラーでないので研究不正である。軽過失はせいぜいかなり多くの著者がいる素粒子実験等の論文の著者落ちくらではないか。

私は北里大学の公表をみると、ゴーストオーサーシップの他に盗用があると思う。北里大学の規定では不正が認定された時、原則氏名と所属を公表する事になっているが、なぜ公表しなかったのか。合理的理由がある場合は非公表にできるが、理由が示されていないので不明。規定を恣意的に運用して、実質的に規定を無視した運営をしていなければよい。

また、上で述べたとおり、盗用とゴーストオーサの問題をゴーストオーサーの問題だけに置き換えて盗用を隠蔽する事は許されないので、北里大学はきちんと説明する必要があり、盗用があれば相当の対応も必要になる。

北里大学の公表写し


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