研究不正が行われている研究室は少ないと思う。しかし、一部実在するのは確か。そのような研究室に所属してしまった場合、学生や若手研究者などの研究キャリアは大きく悪い方向に変わり得るので、そういう研究室を見極めて避ける技術は重要かもしれない。
原田英美子氏(滋賀県立大学)はそのような危険性を学会や動画などで発表している。
原田英美子氏の日本植物生理学会の文献、Youtubeの解説動画、
上司から不正を強要され、逆らうとハラスメントなどを受ける事例は過去にも何度も発生した。
(1)富田真理子 琉球大学らの捏造事件
富田真理子 琉球大の事件でも森直樹からの不正の強要や協力による優遇などで不正に加担してしまって、全く論文を出せなくなった。地位を維持できても研究者としては死んだも同然になってしまった。
(2)森博世(辻博世)徳島大らの捏造事件
森博世 徳島大の事件でも当時院生だった森博世が博士を質にして教授の田中栄二から捏造を強要され追放、学位取消になった。
(3)加藤茂明 東大分生研事件
加藤茂明 元東大らの組織的研究不正事件。元院生などの博士が取り消され、多くの若手研究者が巻き込まれ不正に加担した。東大の調査報告書によると加藤茂明は捏造、改ざんの疑いを把握しながら、その隠蔽を図るために、関係者に実験ノートの捏造、改ざんを指示し、学術誌の編集者に嘘の回答をするなど極めて不当な行為をとっていた。ネイチャー誌も明らかな捏造なのに隠蔽のための大量訂正を掲載した。
(4)渡邊嘉典 東大分生研事件
渡邊嘉典 元東大らの捏造事件。著名研究者だった渡邊嘉典が学生に捏造、改ざんを指示していた。NHKスペシャルによると元学生はおかしいと思ったらしいが、著名で実績のある教授から指示されると逆らえなかったと供述。渡邊嘉典は自分の基準では捏造等ではなく東大の調査委員会が捏造の認定したと反論したが、まず間違いなく保身のための嘘の説明で、悪意を持って捏造を実行又は実行させていた。画像操作をして目的の効果があるように見せかける不正もあり、悪意がなかったとは考えられない。
(5)井上明久 元東北大総長事件
横山嘉彦は井上明久の命令で捏造の疑いをかけられたバルク金属ガラスの再現性を確かめる論文を発表。論文を発表したのは当時井上から業績の少なさを理由に辞職を促され、精神的に追い詰められたからだという。名誉棄損裁判にも共同原告として参加した。しかし、供述を翻して名誉棄損裁判からも離脱。再現性を確かめたと主張した論文も撤回し、東北大学を辞職した。横山嘉彦はその後どうなったのか不明だが、少なくともアカポスにはいないようだ。学界を去ったのかもしれない。
学生などはこんな目にあったのではたまったものではないだろう。私は前から何度も改善を主張しているが無視されているのに近いかもしれない。しかし、こういう大きな危険があるのも現実だ。不正行為をして元学生や若手研究者などをトカゲの尻尾切にして逃げ延びようとする事例も複数発生。阪大・国環研事件、名大伊丹研事件など元学生の倫理意識の欠如による事件も発生しているが、(1)~(5)のようなトップダウン型の研究不正事件で元学生、若手研究者が甚大な不利益を受けた例も多い。
このような問題は教授、准教授などのPIの倫理が欠如していて、不正を強要、逆らうとハラスメントなどの非常に悪質な不正が行われており、非常に難しい問題かもしれない。NHKの「今ここにある危機とぼくの好感度について」の1、2回などで研究不正を指示する著名教授とそれを隠蔽する大学執行部の問題が描かれた。仲野徹氏(大阪大学)は野尻崇、寒川賢治(国立循環器病センター)らの大量訂正による隠蔽があったPNAS論文などについて調査委員長を務め、非常に大変だったことから、隠蔽のためのでたらめな調査を行う大学執行部を描いた同ドラマに対して怒っていた。しかし、でたらめな扱いによる隠蔽は大学や研究所や学会で実在する。
研究不正の問題で上記のような極めて悪質な例は数多く、長期にわたって解決していない。必ず解決してほしい。