前田修一(Syuichi Maeda、博士取消し時60歳、現在約67歳、関連)元三菱化学の博士論文に不正があり九州大学が博士を取り消した。これは九大初の博士取り消し。
公表日 2009年8月5日
不正認定及び学位取り消し日 2009年7月17日
不正論文 前田修一 「光メモリ用色素の合成と応用に関する研究」 九州大学、博士(工学)、乙第8356号、2001年6月20日
取消し理由
① 「論文中に記載されている物質の化学構造が、実際に実験に使用された物質の化学構造と異なっている 」こと、
② 「その物質があたかも実験に使用されたかのように記述されている 」こと、
③ 「記述されている条件とは別の条件で測定された実験データが、実際に実験して得られた値であるかのようにプロットされている 」こと、
④ 「実測値の線速換算値が、すべて同じ実験条件で得られたように図示されており、この線速換算に関する説明が論文中にはない 」こと、
詳細は調査概要参照。一言でいうと捏造、改ざん。
発覚の経緯 2006年10月3日の告発で発覚。
原因、動機 企業秘密で開示できない情報があったため等、詳細は調査概要参照。
※ 『九大の村上敬宜副学長は「企業秘密を理由に開示できないことを明記すれば問題なかった。悪意に基づく行為ではないため、取り消しは非常に残念だ」と話した。』(四国新聞 2009年8月5日)
取り消し理由をみると、捏造、改ざんがあった。九大の村上敬宜副学長(当時)は上のように述べたが、調査概要をみると前田修一の回答は整合的でなく、「いかなる場合であっても、学位論文においてこのような公正を欠く記載は認められるものではなく、また、学位論文中に、こうした考えによって記載したことに関する説明がないことは、不適切な記載と判断せざるを得」ないと言及された。
だから、企業秘密を理由に開示できない事を明記すれば不正でないという問題ではない。論文で虚偽記載、捏造、改ざんは許されない。だから、不正認定と学位取り消しは正当だと思う。ただ、悪意のあるものではないから、再提出を認めて学位を与えてもいいだろう。現に前田修一は再提出で博士を再取得した(推測)。
実をいうとこの件は以前もネットで見て知っていたが、紹介しなかった。九大は再発防止に努めてほしい。