捏造や盗用を行うと研究者生命が絶たれると思いがちである。しかし、研究不正の事例を数多くみると、現実には捏造、盗用した研究者が復活する方法がないわけではない事がわかる。いくつか方法があり、例えば量刑不当を理由に訴える方法。
具体的には琉球大学医学部の森直樹の裁判が例。森直樹は論文38報で捏造、改ざんを行い当初は懲戒解雇になった。当然の量刑。しかし、森直樹は裁判で量刑不当を訴えた。具体的には大阪大学で捏造論文の責任著者だった下村伊一郎が停職14日で済んだのに比して懲戒解雇は重すぎると主張した。驚いた事に地裁は和解勧告で減刑案を出し、最終的に停職10月となった。森直樹は琉球大学医学部教授として復職し、科研費罰則も不当に逃れ、現在も科研費を受けて研究し、論文を発表している。
下村伊一郎はもともと停職1年の案だったが、下村の反論等でたったの停職14日になってしまって、これが悪例となり森直樹をはじめとして後の処罰の不当な軽さの原因になったと思う。例えば大分大学で高井教行が論文21報で捏造、改ざんしたのに停職9月相当、熊本大学で光山勝慶が論文9報で捏造、改ざんしたのに停職1月、論文1報の捏造に直接関与した山本英一郎熊本大助教は厳重注意処分で済んだ。
これらはどれも軽すぎるが、現実問題として森直樹の判例があるので、量刑不当で裁判をすると、判例主義の裁判所は量刑を軽くする和解勧告を出すのかもしれない。これは極めて不当。
盗用も例えば東北大学病院助教が大部分を盗用したのに口頭の厳重注意で済んだ事があり、処分が不当に軽い例はいくつかある。森直樹と同じように過去の処分例と比べて不当に重いと裁判で訴えられたら減刑されるかもしれない。それに捏造と改ざんはどちらも文科省ガイドラインでいう特定研究不正行為で、どちらかをより重く処罰する理由はないから、森直樹が論文38報の捏造で停職10月で済んだ判例があるなら、大概の捏造、盗用はガチで争うと解雇が減刑されるかもしれない。
裁判でガチンコ勝負するのは大変骨の折れる事だが、研究者として復活したい人にとってはいい方法だろう。森直樹は本来懲戒解雇で退職金なし、科研費ももらえない、論文も出せないのが当然だったのに、教授として復職し、退職金あり、科研費あり、給料があり、研究施設があり、大学の費用で研究を続けられ、論文を出し続けられる。こんなにいい事はないだろう。地獄から天国に行ったという感じかもしれない。
不正行為者はそれでいいかもしれないが、上で述べたようにこれは極めて不当。絶対に許してはならない事だ。
不正行為者は裁判をする事が珍しくなく、弁護士は上の判例を使って争ってくるのだろう。ガチで裁判をすると判例主義の裁判所は減刑するのかもしれないが、こういう不当な扱いは改善し、本来の相当な処分を定着させなければならない。